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蜜愛~男になった女~
第2章 第一部【白桜記】 其の一・高嶺桜

そう、今からずっと昔、おさとの方が信頼の側小姓として城に上がったばかりの時分のことだ。あの時、信頼は五歳、おさとの方は六歳になったばかりだった。信頼は、おさとの方の持っている様々な物を欲しがった。
たとえ五歳の幼児とはいえ、信頼は河北藩五万石の藩主である。よくよく考えてみれば、信頼の方が一家老の倅にすぎぬ聡一郎(おさとの方)よりはよほど物質的にも恵まれているはずだ。だが、何故か信頼は幼い頃から、おさとの方の持ち物に対して執着を見せた。
たとえ五歳の幼児とはいえ、信頼は河北藩五万石の藩主である。よくよく考えてみれば、信頼の方が一家老の倅にすぎぬ聡一郎(おさとの方)よりはよほど物質的にも恵まれているはずだ。だが、何故か信頼は幼い頃から、おさとの方の持ち物に対して執着を見せた。

