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蜜愛~男になった女~
第2章 第一部【白桜記】 其の一・高嶺桜
 中でもおさとの方の亡き母が遺していった独楽に強く執着していた。その独楽は子どもの手のひらにすっぽりとおさまるほどのもので、中心が赤く、その周りが青く塗られていた。回すと、勢い良く、くるくると回る。
 信頼は是が非でもその独楽が欲しいと駄々をこねた。
 顔さえろくに憶えてはおらぬ母の唯一の形見である。
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