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第1章 プロローグ

2100年、国連は、人道的死刑制度廃止の為、
全世界の死刑囚を集めた刑務所国の立国を採決した。

その国は通称、荊の国と呼ばれた。
永遠に出られない死の国、マスコミはそう呼んで喧伝した。


これにより、世界各地の最高裁判所で死刑が確定した死刑囚たちは、
こぞって国連に助命申請手続きをした。
彼らは、特別裁判所で再度裁かれ、次々に収監され入国していった。


とはいえ、この国は人道的ではない別の側面も持っていた。
多くの人々の犯罪者への悪感情や被害者意識、
そして死刑の持つ犯罪の抑止効果に配慮したのだ。

まず、死刑の代わりに死刑囚たちは、
永遠にその島国から出られない運命を宣告された。

そして死刑に代わる懲罰として、
絶え間ない厳しい体刑を与えられることが義務付けられた。

その内容は、被害者やその家族の感情を鑑み、
死より厳しい罰をモットーにしていた。

死刑囚を生かすために税金を使うな、という世論も反映され、
国連は、懲罰権の取引や国内で撮れたSM映像の売買により、
国家運営経費を捻出するという離れ業をやってのけた。

世界から集められた死刑囚は、若い美男美女に全身整形され、移送される。

美容整形は、21世紀の100年で目覚ましい進歩をしており、
年齢も性別も死をも超越するレベルになった。

この国では、入国時の身体検査や手術も懲罰として利用された。

強面の凶悪犯が、極力麻酔や痛み止めなしで、
初々しく愛くるしい美少年に変貌する様は、
人気番組として高視聴率を誇った。

そして、その先には、永遠に続くSM地獄が待っていたのだった。