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カクテル好きの男たち
第10章 電気工事の男
「それにしても、美味しそうなお酒が一杯ですね」
所狭しと並べられている数々のボトルを見ながら
坂崎は興味を示した。
「お酒…お好きなんですか?」
「ええ、目がないんですよ」
何かお作りしましょうか?
あっ、でもお車ですよね?
「大丈夫です、
コインバーキングに停めて帰ります
家は、この近くなんですよ」
お酒に目がないというのは本当だろう
珠代が勧めてもいないのに
坂崎はカウンター席に腰をおろした。
エアコンからは快適な涼風が吹き出していた。
久しぶりに集中してカクテルを作れそうだわ
珠代は腕によりをかけてカクテルを作る。
「ジンディジーです、お口に合うかどうか…」
グラスいっぱいにクラッシュアイスを敷き詰め
フルーツで華やかに彩った。
「これは見事な…
なんだか呑むのが勿体ないですね」
「辛口なジンを、
レモンジュースの酸味と
グレナデンシロップの甘みで
飲みやすくブレンドしました。
ロマンティックな夜の始まりに最適な一杯ですよ」
「ロマンチックな夜か~…
珠世さんとなら
そんなロマンチックに溺れてみたいな」
「まあ、お上手なんだから…
カクテルには
カクテル言葉というのがありましてね
そのジンディジーは『ひと夏の恋』と言うんです」
「ひと夏の恋…
出来れば珠代さんと恋に落ちたいものです」
添えられたサクランボを珠代の乳首に見立てて
坂崎はそれにチュッとキスをした。