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カクテル好きの男たち
第2章 最初のお客さま
。。。。。。。。
方や、梓ママのクラブでは
夫の秀一が水割りを文字通り水でも飲むかのように
グビグビと煽っていた。
「あんまり飲むと体に良くないわよ」
「よく言うよ
薄い水割りを飲ませてぼったくるつもりのクセに」
秀一が悪態をついた。
自分でバーテンダーを出来ないもどかしさが
秀一を悪酔いさせていた。
「今夜は、この辺にしときましょうね」
クラブの梓ママは秀一のグラスを取り上げた。
「裕美子さ~ん、私、秀一さんをお送りするから
あとはお願いしていいかしら?」
贔屓の客が帰って
暇そうにしているホステスの裕美子に
店の戸締まりを頼んだ。
「はぁ~い、ママさん、気をつけてねぇ」
気をつけるもなにも
こんなに酔ってしまえば
立つものも立ちはしないだろう。
反対に私が送り狼になって
ふにゃチンでいいからおしゃぶりしちゃおうかしら
そんな事を思いながら
「ほら、秀一さん、帰りましょうね」と
脇に手を差し込んで無理やりに席を立たせた。
店を出て、夜風に当たると
幾分か酔いが覚めたようで
「すまん、ちょっとバーを覗いていくよ」と
梓ママに支えられながら
二人は珠代が代理バーテンダーを勤める店へと
足を運んだ。
バーの看板は煌々と明かりが灯っていた。
「まだ店を閉めていないわね」
いつもならとっくに閉店しているというのに
まだお客さまがいるのかしらねえと
梓ママは怪訝そうにそう言った。