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カクテル好きの男たち
第4章 運転免許返納の男

「おほっ!あんたのような若い女に
触ってもらえるとは!!」

若い?
やだわ、40手前の女なのに…
そうか、彼にしてみれば
私だってまだまだ若い女の部類になるんだわ…

嬉しくなって珠代は老人の顔を見た。
老人も珠代を見つめていたらしく
お互いの視線が重なりあった。

スッと手を伸ばして
老人が珠代の肩を抱く。
それを待っていたかのように
珠代もまた彼に体を預けた。

珠代の顔に老人の顔が被さってきたと思った途端、
珠代は彼にキスをされていた。

拒むかどうかを確かめるような
ほんの少しだけ唇が触れるだけのキス…


『あの店に訪れる寂しい女に
ほんのひとときの幸せを分けてあげるのが
ワシの使命だと思っておるよ』

生前のオーナーの口癖が甦る。
「幸せを分ける」ということが
抱いてあげることなのだと
しばらくして気づいた。

おそらく後を引き継いだ秀一も同様に…

それならば、
私もお店に来る男性に幸せを分けてあげよう

大義名分がハッキリすると
珠代は今までの自分の殻を脱ぎ捨てて
生まれ変わった気がした。


「もっと…頂戴ね…」

これ以上はダメだろうと躊躇って
微かに触れているだけの老人の唇を
今度は大胆に珠代から吸い付いた。

「うっ?!」

驚いた彼が目を見開いた。
口づけをする目と目が
超至近距離で見つめ合う形になった。


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