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カクテル好きの男たち
第1章 女性バーテンダー誕生
二週間後、幸いにも秀一は退院した。
その夜、快気祝いと称して
仲間内を集めてバーで飲み会を開いた。
「今夜は俺の奢りだ!
みんな好きなカクテルを注文してくれ」
皆がそれぞれ好みのカクテルを注文した。
「よしっ、腕によりをかけて作らせてもらうよ」
そう言ったものの、
いざ、シェーカーを振ろうとすると
ガシャンとシェーカーを床に落としてしまった。
「あれ?おかしいなあ…」
久々だから手が滑ってしまったよ
そう言って再度挑戦したが
同じようにシェーカーを落としてしまう。
「今夜はビールにしませんか?
ほら、お祝い事と言えばビールでしょ」
珠代が、これ以上見ていられないとばかりに
カクテルを作らせるのをやめさせた。
快気祝いがお開きになった後、
「俺、右手が痺れるんだ」と
声を震わせながら珠代に告げた。
「黙っていてごめんなさい…
お医者様から後遺症が残るって言われていたの」
「じゃあ…俺はもうカクテルを作れない?」
あまりにもショックだったのか、
秀一は呆然としていた。
「この店も店じまいかな…」
ポツリと呟く秀一が哀れで
珠代は思わず
「私がやる!このお店、私が引き継ぐわ」と
秀一を励ますようにそう言った。