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カクテル好きの男たち
第1章 女性バーテンダー誕生
「珠代!逃げて!!」
秀一は思わず叫んだ。
車は珠代を目指して一直線に迫ってくる。
前か後ろに跳び跳ねればいいのに
珠代は迫り来る車に
背を向けてしゃがみこんでしまった。
「危ない!!」
秀一は珠代を突き飛ばした。
お陰で珠代は足を道路にぶつけて擦りむいたものの
車に跳ねられずにすんだ。
その代わり…
秀一がまともに車に跳ねられた!!
。。。。。。。。。
数時間後、
秀一は救急病院のICUのベッドに寝かされていた。
検査結果は全身打撲…
珠代は医師から症状について報告を受けていた。
「いやぁ~、まともにぶつかったんですって?
それにしては骨折もないし、
何よりも受け身が上手かったんでしょうな
何かスポーツでもされているんですか?」
「私はよく知らないんですけど…
聞くところによると
学生時代は柔道をしてたとか…」
「なるほど、
それで大怪我にならずにすんだんですな」
呑気そうに話す医者の口調からは
大したことなかったようだ。
ホッと安堵の表情を浮かべる珠代に
「ただね…」と
医者は言葉を繋いだ。
「MRI画像なんだけどね、
ほら、ここ見て、わかる?」
モニター画面にMRI画像が映し出された。
「この神経…ちょっと傷ついてるね
いや、安心してください
日常生活に支障はないですよ、ただ…」
初めて医者が話しにくそうに言った。
「右手に少しだけ麻痺が残るかも…」
激しく車に跳ねられてそれだけで済んだのなら
それは良しとすべきなのかもしれなかった。