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カクテル好きの男たち
第7章 百合の花
拒んでみたものの
やはりほどよい体温は心地よい。
いつしか美智子は体を珠代に預けていた。
珠代に肩を抱かれて
しっかりと美智子は珠代の体温を感じた。
ずっと外を歩き回っていたので
すっかり体が冷えていた。
体の中からはアルコールで温められ
外からは珠代の人肌…
ゆっくりと美智子の体も心もほぐれて行く。
「こんなに冷えて…
大変なお仕事なんですね」
ああ…この人は私の辛さを理解してくれている。
何気ない一言が珠代への信頼を深めて行く。
「唇がね…」
「えっ?」
「唇が…冷たいの…」
「まあ!、ごめんなさいね、
配慮が足らなかったわ」
珠代は美智子に口づけた。
「あなたの唇…あったかい…」
もっと、もっと暖めて…
軽く触れるだけのフレンチ・キスから
ぶちゅ~っと唇を押し付け合うハードなものになる
「口の中も寒かったでしょ」
珠代の舌が美智子の口の中へ…
『ああん…女性同士なのに
こんなにディープなキスをしてしまったわ』
初めての経験に
珠代の心拍数が上昇してゆく。
それは美智子とて同じだった。
マスターの秀一との戯れを期待していたが
思いもよらぬ女性同士で戯れる事に
未知の世界に足を踏み入れる事に
怖さや不快さよりも
興味と楽しみに心を踊らせた。