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末に吉をあげる
第2章 書かされた約束
ちょこんと座らされた瑞希が当惑して背もたれから体を離し、背筋を伸ばす。
足の間に手を挟んで、落ち着かないように。
「あの、これ動くんですか」
「その前に」
腕の間から腹をなぞり、下着に指をかける。
「挿れやすくしてくれる?」
数秒間その意味を考えた瑞希は、絶望的な顔つきで下腹部を見つめた。
「え……そう、いう……でも」
「早くヤれよ」
わざと高圧的に言い放つと、ベッドに腰かける。
固まったまま、何を考えてるかひしひしと伝わってくる。
それでも沈黙に耐えきれず、なんとか自身を取り出してそっと握った。
自慰を強制したことはないけど。
濡れてないと出来ないだろうから、間接的な命令になったかな。
脚を組んで、じっと見つめる。
椅子の上って、案外姿勢が限られるのか。
瑞希は腹筋から力を抜こうと脚を動かし、それでもその部分を見なければと腰を丸めると力が籠る。
モゾモゾしながらも、焦っているのがまた可愛らしい。
荒く息を繰り返し、やっと手を動かす。
左手で口を塞ぎ、声を殺して。
「……っふ」
漏れる吐息と、拙い水音。
上半身の肌に汗が浮かぶ。
白い肢体がびくびくと反応し、快楽に集中して目が蕩ける。
ひたすらにスライドさせて。
亀頭を責めることも知らないように。
瑞希が眠っていた間、自分がどう自身を慰めていたか思い出して視線を落とす。
あの頃のことは思い出したくないな。
家具の修理も手痛かった。
「は……っ、んん」
目的を忘れたかのように絶頂にすがる。
「イったら鞭で十回叩くよ」
「んっ、う」
鋭く放った言葉を認識し、瑞希は手を止め震えた。
見えかけた天国の余韻に痙攣している。
助けを求める視線を無視し、先程気になった感触の良い毛で作られた鞭を持ってくる。
「せ、んせ……」
熱っぽく名前を呼ぶ瑞希の額の汗を手のひらで拭い、腰に鞭の柄を滑らせる。
「んっ……やだ」
「別にサドにもドミナントにも興味はないから、さっさとしてくれる? 一人で楽しんでないで」
鞭を手にしたからといって、叩きたい衝動に駆られることもないが、紅い痕を遺せるのは中々魅力的かもしれない。
怯えた目付きもそそるものがある。
だが、瑞希の頭をもう一度優しく撫でてベッドに戻った。
新年早々アブノーマルに走っても幸先が良いとは言えないだろう。