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末に吉をあげる
第1章 末に吉をあげる
なんていうか……。
「予想どおりですね、って?」
「はい。顔に書いておきました」
類沢は小さく笑って、脚を組みなおす。
呆れてる時か、話題を変えるときだ。
自然と肩に緊張が走る。
「明日どこか行きたい所ある? 連れてくよ」
おっと、意外だった。
手の中のグラスの液面が揺れるくらい。
「そんなこと今まで言ったことありますか」
「お前本当たまに口悪いよね」
「ごめんなさい、悪気はないんです」
未だに心臓が鷲掴まれるからやめてほしい。
やっと笑えるようにはなってきたが。
ていうか絶対俺が怯えるのもわかっていて使ってるんだろうけど。
カチカチと爪でグラスを叩きながら考える。
「……雅さんは?」
「僕も知らない玩具を扱ってるホテルがあるから一日中そこで過ごすとか」
「あ、な……と、気になりますけども!」
「気になるよね?」
「じゃなくてっ。玩具へのそのこだわりなんなんすか、大体俺が貰ったやつだって後から調べたらめっちゃ高かったし!」
後から、というのは大学に入学してからだ。
荷物を整理してた時にあの袋を見つけた。
記憶がところどころ曖昧だったが、中身を確認したとたんに全てを思い出させられた覚えがある。
確か……一本、八千とかしてた。
「調べたの」
「調べました」
その様子を想像したのか、類沢が頬を緩ませる。
なんだよ。
こっちだってネットで検索して購入ボタン押すところ妄想してやる。
……いや、普通に冷静だろうな。
もしかしたらネットじゃないかも。
そういう店にしれっと入っていたのかも。
「別に個人的なマスターベーションの話を聞きたいわけでもないだろ」
「だからそういう……前にも俺が眠っていた間は一人でシてたとか言うし……」
「想像でもした?」
わかりやすく赤面でもしたのか、類沢は愉快そうに俺の顎を下から撫で上げる。
ぞくぞくと背中から力が抜けていく。
すぐに顔を逸らした。
「質問っ、に答えます。明日は俺……神社行きたいです。だから、初詣行きませんか?」
反応がないので、そっと目を向ける。
類沢は真顔でこう言った。
「何しに?」
「え……えと、おみくじ買いに」
「行ってらっしゃい」
「いやいやいやいや」
予想外だ。
こんな噛み合わないのも久しぶりな気がする。
そこで俺は気づいた。