この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
凍てつく湖
第2章 ブラックボックス
「それは本音かい?」
「紛れもない本音。出来れば高みの見物といきたいわ」
流れる車窓にはビル群の漏れてくる灯火。玲子はそれを走馬灯にのように眺めつつ、どこかやるせない過去へと走らせている。
「念の為だが、、君は我が社の委託とはいえ社員なんだよ」
「こんな訳ありを、、感謝してますよ。社、長、」
「いやいや。困った時はお互い様さ」


 先ほどまで二人は在京テレビ局の企画会議に参加していた。そこへ突然転がり込んだ思わぬ「上ネタ」。部外者である筈の神谷はもはや居ても立っても居られなかったのか、半ば強引に終了させて玲子をはじめスタッフを驚かせた。各自アイデアを振り絞るこの会議は丸一日掛かる事も決して珍しくはない。

「でも、、渡辺三郎の身辺調査は依頼したんだよな」
神谷は確認する。
「えっ?」
「さっき電話してたよな。相手は富さんだろ?」
人材コーディネーター富沢はこの業界では有名人。ありとあらゆる訳あり人材を紹介し、ドキュメンタリー番組には欠かせない人物だ。とにかく顔が広い。
「せっかくなので、、少々お時間は掛かります、、が!」
富沢の隙のない笑顔が二人の脳裏に過ぎる。
「おいおい。何か矛盾してないか?」
神谷はいたずらっ子のように笑う。
「人間の自己矛盾などは今更ですよ。社長だって売り物になるか微妙な映像にワクワクしてるんでしょう?」
相変わらず玲子は窓の外を眺めている。何故か、、泣きたくなっていた。
「衝動、あるいは、そう、、性かねぇ」
まるで他人事のように呟く神谷。
「、、同じく。ただ更に正確に言えば人と人の関係が希薄になって他人に興味がない人が喜ぶ世界になりつつある今、、それでも他人に興味を持ち関わってしまう性。嫌われる、不謹慎、あるいは危ない奴だと思われるのを分かっていても飛び込ませる、、これが衝動?」
二人の視線が重なる。
「俺は少し違うかな」
先にそらしたのはアクセルを緩めた神谷だ。
「、、本当にろくな事はないわ。結構なお釣りを貰ってもバチが当たらないのに」
「それがまさかの罰金とはな!」
赤いテールランプの群れが二人の車と会話を止める。
「、、、、」
玲子は再び窓の外を眺めていた。
「それでもさ、行くしかないんだよな!」
声を張り上げた神谷はウインカーを出して強引にUターン。タイヤを擦り減らし沢山のクラクションを浴びた車は裏路地へと、暗闇へと逃げ込んだ。
/18ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ