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凍てつく湖
第3章 告白と回想  
 うん。早速で申し訳ありませんが、かなり古い話になります。少なくとも昨日今日の話じゃないので、、まぁ、変な話ですけど、その辺りはどうぞ御安心して聞いて下さい。
当時の私はまだ二十代。大きな工業団地の一角にある小さな印刷工場で働いていました。
それこそ朝から晩までインクまみれでね。自分なりにですけど精一杯やっていました。
それでも生れながらの貧乏暮しは相変わらずでしてね。うん、、この街の人誰もが、、きっと、そんな、どこか鬱積というか屈折した想いを胸に抱えていたんじゃないんでしょうか?
高度経済成長などと浮かれた日本からは程遠い地域と人と暮し。吠える気力もない野良犬はいつも痩せ細った身体を丸めていましたね。
まさに時代の光と影とでも言うのかな?

毎日安い酒をちびちびと飲んでは愚痴をこぼし、おぼつかない足取りで時々つまらない石につまづきながら古い寮に帰るだけの生活。私を待っているのはカビ臭い薄い布団だけ。そりゃあ、臭いわ寒くわ暑いわ、、いい夢なんて見た試しがありませんよ。唯一かな?残業して稼いだ翌月の給料日に、安い商売女を抱くのが、、そう、たまの贅沢でしたね。
それでもですね、、それでも、そこから抜けきれなかったのは単にお気楽だったからでしょう。
周りには同じような境遇や生い立ちの連中が沢山いましてね、眩しく華やかな暮らしなんてのは銀幕の世界だけだと思っていたんですよ。

それにね、これ以上に下がる事のない生活は慣れてしまえばやっぱり楽なんですよね。俗に言う、ぬるま湯に浸かるというやつです。
向上心などは悩みの種。育てた所でどうせ思い描いていた綺麗な花など咲きはしない、、とね。

いつからか私は勝手に決めつけていました。

だからね、このままこの小さな会社で定年を迎えてもいいとさえ思っていました。毎日毎日同じ事をまた繰り返す。そして同じミスもまた繰り返し笑う。時に笑われれば更に笑って誤魔化す。
それは、つまり昨日と同じ今日がまた明日も続くという奇妙な安心感。裏を返せば生き方なんてのは不満と不安、どちらを取るか?という事なんでしょうか?
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