この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
匣
第3章 影のないひと
美しい人はずいぶん身体が軽くなったので、
おかしく思って周りを探した。
どこを見ても影がいない。
家の裏にも、木の下にもいない。
子供たちは姿を消していた。
男のしでかした恐ろしい行いに、自分が一役買ってしまった。
美しい人は途方にくれ、さめざめ泣いた。
美しい人は、その日から影のない人になった。
影がないと人の目が辛い。
影のない人はいつも日陰を歩いた。
影がないと光が辛い。
影のない人は光に透けてふわふわと歩いた。
"影のない人"
"美しい人"
影たちは囁き、影のない人をなで回した。
とりつく場所、影の切り口を探してはい回った。
でも影は綺麗にさらわれていたから、
くっつく場所も影の切り口もなかった。
美しい人の影がないことが影に知れわたり、
影と言う影が美しい人の影になりたがった。
影は夜になって影のない人の家の戸を叩いた。
影のない人は戸を開けなかったけど、
夜は誰の前にもいつの間にか現れた。
おかしく思って周りを探した。
どこを見ても影がいない。
家の裏にも、木の下にもいない。
子供たちは姿を消していた。
男のしでかした恐ろしい行いに、自分が一役買ってしまった。
美しい人は途方にくれ、さめざめ泣いた。
美しい人は、その日から影のない人になった。
影がないと人の目が辛い。
影のない人はいつも日陰を歩いた。
影がないと光が辛い。
影のない人は光に透けてふわふわと歩いた。
"影のない人"
"美しい人"
影たちは囁き、影のない人をなで回した。
とりつく場所、影の切り口を探してはい回った。
でも影は綺麗にさらわれていたから、
くっつく場所も影の切り口もなかった。
美しい人の影がないことが影に知れわたり、
影と言う影が美しい人の影になりたがった。
影は夜になって影のない人の家の戸を叩いた。
影のない人は戸を開けなかったけど、
夜は誰の前にもいつの間にか現れた。