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第4章 痴人の罠
父は何故死んでしまったのか。
どうして母を道連れにしたのか。
死ななければならないほどの絶望とは何か。
父を、陥れた人間は一体誰なのか。

俺は怒りと悲しみで震えていた。だが本当はわかっていた。強い悲しみと喪失感の前に、俺は別の感情で気を紛らわしたいのだ。

父は、俺やと母と生きていく人生を諦めてしまった。
二人の死を知ってそう思ってしまった瞬間から、この考えが頭の中心になった。
悲しく、やるせなく、そんなことを考えてばかりだと身動きがとれなくなりそうだった。
主を失った家はどこかよそよそしい。迎える者のいない家は軟らかな皮を被った記憶の化石のように、
ぬるっとした微笑みのまま記憶の瑞々しさを奪っていくようだった。
何もしてあげられなかった、何も打ち明けてもらえなかった。俺は、同じ家にいて何を共にしていたのだろうか。

(あ、涙…)




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