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濡華 ~妹、涼華の過去~
第3章 夏休み
私の仕事はすぐに決まった。

グループLINEに杏奈から時間と待ち合わせ場所だけ連絡が入ってくる。

金額は1回10万円。
半分が私の取り分になる。
もちろん、ゴム付きは絶対となっている。
そんなに払う人なんているのかと思ったが、現役JKを抱けるとなると出し惜しみなく払う人はたくさんいた。

最初の相手は50代半ばくらいのおじさんだった。
一応名前は服部さんと聞いている。
私も仕事の時は「鈴」と名乗るようにしていた。
杏奈の言う通り紳士的でほっとした。
芹沢先生以来で少し緊張したけど、ほんとにいろいろと手取り足取り教えてくれた。

そういえば、あれから先生とは会っていない。
やはり向こうは部活が忙しいのだろう。
今年もインターハイ出場らしいから。
もちろん、私からもなんのコンタクトも取っていなかった。

夏休みに入ると、本当に家には帰らなくなった。
最初は電話やLINEがしつこいほどに入ってきていたが、まったく無視するわけじゃなく、適当に返事をしていたらほとんど無くなった。
おそらく姉が帰省してきたのだと想像はついていた。
父親は私のことは母親に任せきりだから無害だった。

私は独り暮らしの杏奈のマンションに転がり込んでいる。
杏奈は素行は悪いがお金持ちのご令嬢だった。
親に迷惑かけなければ好きにしていいらしい。
やってることがバレれば迷惑じゃすまないだろうが。

今夜も仕事が入っていた。

「ほんとにすっかり人気者だな…」

「おかげさまでね…私…けっこうむいてるのかな……」

杏奈の言葉におどけてみせた。

「これじゃ、私のNo.1の座も危ういなぁ…」

「いいじゃん…杏奈は働かなくても私達の紹介料も貰えてるんだから……」

「まぁね…涼華がたくさん儲けてくれるからねぇ……」

杏奈は嬉しそうにじゃれついてきた。
頭を撫でながら呟いてくる。

「伸びたね…髪……伸ばすの?……」

「まさか…ベッドに挟まって痛いからね…もう切るよ……」

【お姉ちゃんみたいにするわけないでしょ……】

「あ、そろそろ行くね……」

「今日はご新規さんだっけ?……」

「うん、そう……じゃね……」

19時、駅裏の時計台の下。
今夜は蒸し暑かった。
タンクトップにフレアミニ姿で立っていると、背後から声をかけられる。

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