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眩惑のディナーショー
第6章 五人目の御客様…どうぞ
いったい何の香水を付けているのだろう。普段は気付けなかった距離に接近し、初めて香るアサドの身体から漂うセクシーな芳香──

ああ…っ…
すごくイケナイ気持ちになってくる…っ

ぼーやはそう思いながら抱き締められていた腕に身を委ね始めていた。

クスリと笑うアサドの熱い息が耳元に掛かる──

「ほら、やっぱり怖いくせに……」

身体が熱を帯、囁かれる低い声音にうなじが甘く痺れ尚更、鼓動が早まっていく。それを知られるのが恥ずかしくてぼーやは然り気無くアサドの厚い胸板をぐっと押し返した。

「あっ…」

アサドの腕がまた強く抱き締めてくる。

「こんな時に女が強がるもんじゃない」

「……っ…」

背中にあったはずの腕が腰に回されている。
抱き締めて肩に顔を寄せたアサドの頬がぼーやの首筋に当たり、その熱にアサドの口からふッと声が漏れていた。

「こんなに熱いんじゃ、酒はやめたほうがいいな……飲みはキャンセルして何処かで休むか?」

「……っ…」

アサドの吐息交じりのその言葉にぼーやはゴクリと唾を飲む。そして小さく頷いた──

その途端、機内の照明が元に戻りエレベーターが動きだす。

アサドは赤いぼーやの顔を覗き込んでいた。

「いまの返事はキャンセルきかないがいいか?」

「はぃ…」

明るくなっても抱き締められたまま、震える声で小さく答えて俯く。

アサドはまたクスリと笑った。

「覚悟したなら俺もそれなりに責任取らなきゃならないな…」

「え…」

「何でもない……まだ先の話だ──」

甘く囁いたアサドの唇が近づいてくる──

照明が落ちたわけでもなく、今度はアサドの陰がぼーやの視界を暗く塞いでいた……。




〜密室内の密約・恋の始まりに緊急停止ボタンは見当たらない〜

アサド&ホヤぼーや

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