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眩惑のディナーショー
第17章 *読者様感謝祭*
しっかりと握られた手を急に引っ張られ、愛美の足が思わずもつれた。
「──…あっ」
「……っ…」
フラ付く愛美をしっかり受け止めたアサドの唇がまた間近になる。
息が止まったように愛美を見つめるとアサドの唇が愛美の頬を掠めていた。
「──…っ!?」
「当たっただけだ…このくらいは許せ」
目を見開いた愛美にアサドは背を向けて小さくそう口にする。
「ザイードには言うなよ」
「………」
ほんの少し触れただけ。
だがザイードにはそれだけでも殴る権利がある。
愛美はザイードの大事な人。
やがては王妃になる人だ──
それでも一瞬だけ求めてしまったのは、今だ諦め方が見つからない己のせい──
諦めようともしない自分のせいだ……
アサドは愛美を振り返り、自分の手の甲で愛美の頬を無造作に拭う。
「行こうか…」
そして、愛美の手を引くと雨上がりの林の中をゆっくり歩いていた…。
*〜end〜*