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眩惑のディナーショー
第6章 五人目の御客様…どうぞ
「どうしたその顔は? もしかして飲む前からもう酔ったか?」

ほんのりうっとりとした顔を見られてくくっと笑われる。ぼーやは自分の赤い顔を庇いながら咄嗟に謝っていた。

イヤらしい視線がバレただろうか。
気持ち焦っているとフッとエレベーター内の照明が落ちて緊急停止する。

「──…っえ、な、何っ」

「地震か? 最近多いな…」

暗い中でアサドの落ち着いた声だけが聞こえてきていた。

「大丈夫か?」

怯えた様子のぼーやを気遣う声が聞こえてくる。

「う、あ、あのっ大丈夫……っ…だすっ」

「……?…」

語尾が変な日本語に聞こえたってことは恐らく大丈夫ではないのだろう──

アサドは探るようにぼーやの腕を見つけて掴む。

「──ひやっ!?」

「こっちに来い──」

突然引き寄せられた身体はアサドの逞しい胸の中に捕らわれていた。

「えっ!? あ、あのっ」

「大丈夫だ。怖いんだろう?──こうしてれば時期に元に戻る」

「……っ…」

そういって抱き締めて背中に回された腕にぎゅっと力が込められて怖さからきていた胸の鼓動が違うドキドキに変わっていく。

「あっ…あのっ…大丈夫ですからっ」

「嘘をつけ、すごいドキドキしてるじゃないか」

そ、それは専務のせいでっ…

ぼーやは胸の中に捕われながら身体をカッと熱くした。
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