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眩惑のディナーショー
第7章 六人目の御客様…どうぞ
「お前が責任者か」

「一応、……」

近付いてきたシェフは問われてそう応える。一応、今日は厨房火元の管理責任者だ。

腕を組んで仁王立つ、何処かしら客に対してふてぶてしいその男の胸の名札をアデルは睨むように目を細めて顔を近付けた。

「吉、田(よしだ)……


──…恋(らぶ)?…」


「──…!?っ…ラブじゃねえっ…恋(レン)だっ」

真顔で名前を読んだアデルの大ボケに吉田は真っ赤になってツッコンだ。

隣にいたアサヒは思わずプッと吹き出した口を慌てて塞ぐ。

「何が違う──…わたしはその文字を“ラブ”か“こい”と読むと教わった」

アデルはふんぞり返り堂々と口にする。

“恋とはなんと言う意味だ”

そう尋ねるアデルに悩んだ愛美は英語のLOVEで説明をしていた。

音読み訓読みがあることをアデルは知るよしもない──

「どちらでもいいが、とにかくラブ! 店員の不始末は責任者のお前が詫びを入れろ」

「ラブ言うなっ…」

普段は見たことのない吉田の真っ赤な顔にアサヒは耐えられず、手にしたトレーで緩む顔を半分隠してニタニタ笑う。

周りの客からもクスクスと密かな笑いが聞こえてきていた──。




〜招かれざる来客〜

アデル&アサヒ

友情出演・吉田

小説「Cooking heaven」
著者 アサヒ

シェフ吉田と試食バイト、夏菜のラブコメ。

絶賛公開中──
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