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眩惑のディナーショー
第7章 六人目の御客様…どうぞ
アデルは牛車の小窓に掛かる簾の隙間から日本の女子大生なる種族を品定めしながら覗いていた。

「わたし好みの女を見つけたら金の延べを配って置け」

アデルは中からそうハッサンに声を掛ける。ハッサンは、はいはいと返していた。

牛車は店の前で停車する──

アデルは降りるとその店の建て構えを眺めた。

*Cooking heaven*

アデルは看板の店名を目に止めてドアを潜る。

席に案内されて座ると直ぐに頼んでもいない品がテーブルに置かれた。

「なんだこれは?──」

「水で御座います」

「水は見ればわかる! だがわたしはまだ何も頼んではいないっ」

「……み、水はサービスで御座いますっ」

「サービス?…」

女性店員の返答にアデルは眉をしかめた。

「サービスとはなんだ」

「無料(タダ)の品ですっ」

「タダ…っ」

アデルの表情が険しさを増す。

「このわたしが水の金も払えぬような輩に見えたかっ!無礼な女だ──名を名乗れっ」

「…っ…ア、アサヒとっ」

漢字は読めるがカタカナはまだ読むことができない。アデルは尋ねて名乗ったその店員を覗き込む。

「アサヒ? 責任者はお前か──」

サービスの水が気に入らないと急に怒り出した白装束の変な外国人にアサヒは焦りを浮かべた。

「どうした? 何があったんだ」

ホールの騒ぎに長身のシェフの姿をした男が顔を覗かせた。
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