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眩惑のディナーショー
第11章 賄い漬物定食
「くぅっりす ますがこっとぉしもやぁってくるぅ〜♪ふふふンフンフン〜」
わからない歌詞はテキトーに鼻が奏でる。
君熱の完結がX'masまでに間に合った御祝いがあの賑かな田中家で始められていた。
「おう、アイツはまだ着かねえか?」
「うん、道が混んでるみたいだょ」
「そうか。ケーキがこなきゃはじまんねえな、もうちいっとばかし呑んでるか…」
ケーキがこなきゃX'masは始まらないが、満作の晩酌は陽が傾いたと同時に始められている…。
満作が居間に戻ると相変わらず立て付けの悪い引き戸の玄関がガタガタと音を立てていた。
「あ、兄ちゃんお帰り!」
「ああ、ただいま。俺が最後?」
皆はもう先に集まってるかと晴樹は三つ子に訪ねながら家に上がった。
NYから帰国して今年のX'masはこの田中家で過す──
八畳間に並べられたテーブルには仙人のような爺ちゃん婆ちゃん。そして、若作りのひろしとユリちゃんが顔を並べ早速、座布団にちょこんと座っていた。
「ケーキはまだか?」
晴樹は尋ねた。