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眩惑のディナーショー
第15章 福袋 [梅]
2014──元旦
年が明け、初雪が舞う中で、神社の人混みに揉まれながらぴよは初詣に来ていた。
揉み合う人の波に押されながらやっと祷りの順番が回ってくる。ぴよは手にしていたお賽銭、45円を握り締めていた手から賽銭箱へと投げ入れた。
45円。今年も始終ご縁がありますように──
大きな鈴をジャラジャラと揺らして柏手を二回打つ。
誰がそうしろと言ったのか? そこに居る皆が同じようなスタイルで今年も神社を参拝していた。
「今年こそは良きご縁がありますようにっ!!」
ぴよは45円分の御願いを目を閉じて気難しい顔で呟く。
押し寄せる人に背中を押され、身体を微動させながらも足を踏ん張りぴよは手を合わせる。
その真後ろで何やら小競り合いの声がしていた。
「痛ってえなっ!? なにしやがんだテメェっ──」
腕を捻り上げられた男が抵抗するようにもがいてそんな声を上げていた。
「なにしやがんだじゃねえだろうがお前よっああ!?」
凄んだ声が聞こえてくる。新年そうそうのいざこざに、混んでいた筈のその場所は一気に隙間が出来ていた。