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眩惑のディナーショー
第17章 *読者様感謝祭*
「マナミ…」
「きゃーっ」
「………」
声を掛けても重なる雷の音と愛美の悲鳴に掻き消されてしまう。
「マナ…」
「きゃーっ…いやーっ…」
ゆっくりと腰に絡まる手を外そうと試みるもやっぱり雷に遮られてしまう。
ぎゅっと強く抱きつく愛美を苦笑いながらもアサドは溜め息を吐きつつ切ない表情を浮かべていた…。
アサドは思いきったように自分の腰から愛美の手を外した。
「……っ…」
悲鳴を上げる間もなく愛美はアサドの胸にしっかりと抱き締められる──
「このほうが怖くないだろ…」
「──……」
そう耳元で囁いたアサドの声が少し掠れていた……。
驚きながらも今もなお、表で激しく響く雷に肩がビクリとすくんでしまう。
アサドはそんな愛美の背中を守るようにゆっくりと強く抱き締め返した。
「まだ怖いか…」
伺うように優しく尋ねてくる。
愛美はアサドの胸に頬を埋めながら首を小さく横に振った。
優しく抱き締める大きな腕に安心感が募る。
頬を預けた胸元からはトクンとした柔らかな鼓動が聞こえていた…。
「そろそろ雨が止みそうだ…」
落ち着かせる為の嘘なのだろうと思いながら愛美は顔を上げる。
「………」
ふと、自分を見つめていたアサドの顔が間近にあった。
「………」
とても近い距離で、アサドの喉元がごくりと上下する。
緊張したように瞳を見開いていたアサドの唇が微かに近付きゆっくり開いた…
「……言った通りだ…」
「……えっ!?」
「雨が止んだ」
急に愛美を解放したアサドは愛美に背を向けて晴れて陽の差す外を見ていた。
「またいつ降るかわからない。早く戻ろう…」
まるで急くようにアサドは愛美の手を引いた。