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神様のいない世界
第1章 運命
夏休みを目前にした学期末テストの最終日。
山根 和穏 (やまね わおん) は、17才の誕生日であるこの日、急いで家に帰った。
自分の誕生日だからではない。
3ヶ月前、父が交通事故で亡くなってから、母の様子が尋常じゃないからだ。
何かに怯えている様な異常さに、小1の弟である海 (かい) までもが不安になっていた。
死に直面したのは初めてで、和穏自身も動転しているのだが、最愛の夫をなくした母が、今後2人を育てて行くのに不安になっているのだろうと、長女らしく支えになろうと思っていたのだ。
職を点々としていた父に蓄えもなく、母もスーパーにパートに出ていた。
生命保険にも入っていなかったが、借金が無かったのが唯一の救い。
ひき逃げだったその事故は、目撃者も居らず犯人も未だに見つからない。
山根 和穏 (やまね わおん) は、17才の誕生日であるこの日、急いで家に帰った。
自分の誕生日だからではない。
3ヶ月前、父が交通事故で亡くなってから、母の様子が尋常じゃないからだ。
何かに怯えている様な異常さに、小1の弟である海 (かい) までもが不安になっていた。
死に直面したのは初めてで、和穏自身も動転しているのだが、最愛の夫をなくした母が、今後2人を育てて行くのに不安になっているのだろうと、長女らしく支えになろうと思っていたのだ。
職を点々としていた父に蓄えもなく、母もスーパーにパートに出ていた。
生命保険にも入っていなかったが、借金が無かったのが唯一の救い。
ひき逃げだったその事故は、目撃者も居らず犯人も未だに見つからない。