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神様のいない世界
第10章 事件
「和隠。誤解しないように話しておくが、今のお前をどうこうしようとは思ってないからな?善が怪我したのもお前を守るためだ。俺のそばに居れば狙われる。だが、手放す気は無い。わかったな?」

「私のせいで善は刺されたの?」

「お前を守るためだ。お前のせいではない」


宗高の強い視線に和隠は息を飲んだ。


私のせいじゃないと気を使ってくれてるんだ。私が居るから刺されたのに、私が思い詰めないように言ってくれてる。それは十分わかるけど……
私のせいで、これからも誰かが怪我をするのだろう。


「和隠……お前は、俺が山城組の若頭と知ってて『ずっと』と言ったんだ。俺はお前を手放す気はなくなった。一生まとわりつく問題だから、覚悟しておけ」

「……うん」


和隠はそう返事をすると宗高は目を瞑った。


「……寝かせろ、数時間後には出るからな」


和隠の頭を撫でながら、数秒後に寝息を立てて宗高が眠り、和隠はその手を握って目を瞑った。
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