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神様のいない世界
第3章 境遇
それから少しすると、別の部屋から男達の話し声が聞こえたかと思うと、和穏のいる部屋のドアが空く音がして、和穏は身構えた。


また政安か、今度は私か。


政安の唸り声は悲痛そのもので、必死に何かを懇願している様に感じられた。

それから推測すれば、拷問に近い『何か』をされていた事に違いはないと、和穏は歯を食いしばった。


小さなナイト……


それに引っかかる和穏は、さっきの重みが男の子なんだと思うと胸が苦しくなった。弟の海を思い出したからだ。

自分がこんな目に合っていれば、母や海が捕まれば似たような目に合う。


海には絶対に……させられない。


今や公平が父親でないと突きつけられ、信じたくないものの信じ込まされた和穏は、我が子の様に大事にされた恩を忘れられないし、それを返す術は、父が守ってきた物を守ることだと思ったのだ。
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