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一度きり
第1章  
「パパ、今から帰るね。友だちも一人連れて行っていいかな?」
12時を少し回った頃です。
娘の桜からの電話でした。
今日は一人娘、桜の成人式です。
東京で一人暮らしをして大学に通っている桜が、成人式に出席するため久しぶりに帰省していました。
市民センターでの成人式が終わったのでしょう。
「うん、いいよ。気をつけて帰っておいで、桜」
私はそう言うと受話器を置きました。
もうあれから20年も経つのです。
私も50歳を過ぎました。
娘が二十歳になった今、思い出される女性がいます。
私が結婚してから妻以外に抱いた女性が一人だけいました。
桜はそのひとにちなんで名付けたのです。
その女性の名前は、百合さんと言いました。
その当時、百合さんは40代前半だったと思います。
彼女は、本名を教えてくれましたが、自分の正確な歳は最後まで明かしてくれませんでした。
名字は菖蒲(あやめ)と言いました。
「結婚したら名字も花の名前になったの…………」
そうおどけて話していたのを思い出します。
あの時、私は30歳でした。
結婚したばかりでした。

彼女とは当時の“メル友”募集の掲示板で知り合ったのです。
会社のパソコンを使って、遊び半分で始めたメル友探しでした。
当時は、まだパソコンでのやり取りが主流でした。
何人かの女性とメールで話すうち、彼女と意気投合しました。
彼女のうちは、隣の市で小さな蕎麦屋をしていると聞いていました。
でもどの市かは今もわかりません。
成人している娘さんがいると言っていました。
お店は家族で切り盛りしているそうです。
彼女は経理の仕事でパソコンを使っていました。
そのパソコンでメールのやり取りをしていたのです。
私たちはメールを交わすうち、歳が違っても打ち解け、いつしか逢いたいと思うようになり、そして実際逢うことになりました。
初めてメールをしてから2ヶ月は経っていたでしょうか。
あの当時まだ“出会い系”などという言葉はありませんでした。
私たちは純粋に逢ってみたいと思っただけです。
私の会社帰りに逢うことになりました。
でも、私も初めての経験でしたので、緊張しました。
待ち合わせは、近くの“道の駅”にしました。
広い駐車場です。
県外の車も多くいます。
誰かに見られても、怪しまれることはないと思いました。
私が先に着きました。
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