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マスター・ナオキの怪店日記
第6章 路地裏で会った男、来店
 え?と小さく声を上げた尚樹の、表情も動きも思考も、すべてが固まった。
体が・・無いんだから・・?
「あの・・おっしゃっている意味がよく・・」
 わからない、という言葉までたどり着かない。だんだんと顔の筋肉がこわばってきて、だけどものすごく怖いかというとそういうわけでもない。ただ、今いるこの空間は、空気は、普通ではないという事だけは感じ取っている。 
 男は、驚かせてしまって申し訳ない、と頭を下げた。
「あなたには私らが見えるようになったんですよ。長澤さん・・長澤信彦さんと照美さんのように、私たちと会話ができるようになったんです」
「長澤・・え、信彦さんと照美さんのお知り合いですか?」
「ええ。それに一度、あなたにもお会いしていますよ、ほら、ジャズの聞こえる裏通りで」
「え・・あっ!あの時の?」
 買い出しの帰り道、裏通りの外灯の下にたたずんでいた男に声をかけられた。信彦と照美から聞いたと言っていた、あの男だったのか。人相風体を思い出すことができず、照美に聞いておきながらうまく説明できなかった。
・・そうか、あの時の・・



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