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マスター・ナオキの怪店日記
第9章 霊のお告げ

 男の言ったことが本当になった。
 あの元バーテンダーが来店した翌日からここまで、店は客が入れ代わり立ち代わりやってきて、これまであまり味わったことのない忙しさに、疲れを感じるほどの繁盛ぶりだ。
「なんか最近忙しそうじゃん。カウンターの裏に招き猫でも置いたか?」
 ゴリさんの減らず口をいつもなら鼻で笑うところなのだが、今回は真面目な顔つきで黙って聞いていた。
 招き猫なんていうかわいらしいものならいいが、幽霊のお告げだなんて言ったらこの人はどんな顔をするだろう。
「あ、そうそう、だいぶ前にツケで飲ましてもらっただろ?すっかり忘れてたのをなぜか思い出しちゃってさ。今夜払うよ。利子は今夜の飲み代、倍っていうのでいいかい?」
「えっ!」
 思わず叫び声をあげたマスターの顏を、店の中の客たちが一斉に注目した。それほど響いた驚きの声だった。
・・うそだろ。あの人言ってたよな?自分の分の酒代も入るだろうって。まさにこの事じゃないのかよ?・・


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