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マスター・ナオキの怪店日記
第10章 3人目の幽霊様
冷え込みが厳しい二月の半ばの夜。長澤夫妻が来なくなってそろそろ二ヶ月になるか。
いったいどうしているのだろう。昨年暮れのあの夜が、彼らとこの店の繋がりを細めてしまったのだろうか・・
なにかに引っ張られるようにして壁の時計を見上げる。
11時まであと20分ほど。気が付けば店内に客はいない。そうだ、5分ほど前に若いカップルが帰っていってから店には尚樹一人となったのだった。
ふと、尚樹の頭をよぎるのは、この状況があの時と似ている事。長澤夫妻の事を思い出し、客が引けて自分一人。まさにこんな夜。
その時、ギイとドアが鳴いた。
ドキリと心臓が一跳ねしたのを感じてからドアを見つめる。一人の男が入ってきた。
・・来た・・
またしても判った。幽霊様ご来店だと。