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マスター・ナオキの怪店日記
第12章 夢の導き
女性の霊が来店してから三日後、にぎわい始めた8時過ぎに、思わぬ客がドアを開けた。
志穂だった。
なんの事前連絡もなく突然志穂がやって来たのは初めてだったので、嬉しいやら恥ずかしいやらで尚樹は声も出せずに口をぽかんと開けたまま、しばし突っ立ってしまった。
「あらあ、志穂さん、ずいぶんと久しぶりじゃあないですか。相変わらずお綺麗で」
ゴリさんのお世辞を受け止めながら、志穂はにっこりと微笑みを返す。何度か顔を合わせていたゴリさんの人柄を快く思っているので、わざとらしいとわかっていても、嬉しいわと喜んで見せた。
そのゴリさんに、なにぼさっとしてんだよと言葉を差されて、尚樹は慌てて声をかけた。
「びっくりさせないでくれよ。来るなら来るって連絡くれればよかったのに」
「おいおい、なんだいその言い草は。びっくりしているっていうより嬉しそうにしか俺には見えないけどなぁ。な、毎度さん」
尚樹の、わざとつっけんどんな態度をからかうゴリさんからバトンを渡された毎度さんは、そうだそうだと首を縦に振りながら、尚樹に代わって志穂の前にコースターとおしぼりを並べた。