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マスター・ナオキの怪店日記
第12章 夢の導き
 やっぱりあの女だったのか・・
 この店から帰った後、天に上る前に志穂のところへ寄り道していったのかもしれない。
 だけどよく志穂の存在がわかったな。どうやって知ったんだ?調べたのか?いや・・彼女はもう人間の常識は通用しない存在になっていたんだ。見通されていても不思議はないのかもしれない。
 とにかく、志穂を怯えさせることなく自分のもとへと導いてくれたんだ。感謝の気持ちを込めて、献杯をささげよう。
「そうか・・まあ、なんでもいいさ、こうして来てくれたんだからさ」
 そうだそうだとゴリさんと毎度さんの冷やかしを浴びながら、自慢のカクテルを志穂のために作る。あの女が記念に持って帰ったのと同じ蘭の花を添え、志穂に差し出す。
 志穂がカクテルグラスを目の高さに掲げると、ゴリさんも毎度さんもグラスを掲げる。そして尚樹も、目の前にあったジンを急いでグラスに注いで宙に掲げる。
 乾杯、と客三人が声を上げる中、尚樹は心の中で献杯、とつぶやく。
 カクテルを味わう志穂を見つめながら、彼女には自分の体験している出来事は内緒にしておこうと、尚樹は心に決めた。




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