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比翼の小鳥
第2章 穴蔵のシスター
扉の向こうで、誰かが椅子に座った気配がした。

「シスター、コッカイします」
震える細い声は、今にも泣き出しそうだ。

「何があったのですか?」
ドアを挟んで背中合わせに座り、わたしは尋ねた。

「好きな人が…できました」またか。
内心、ため息。

わたしが「穴蔵のシスター」と呼ばれるようになってから、一番多いのが恋愛関係の話だ。

といっても、ここは女子校。
迷って迷って悔い改めて、そうしてわたしに辿り着く。
わたしの役目は、ただ一言「許します」と告げるだけだ。

傷ついた心の応急処置ではあるが、その一言で救われるのだ、とわたしをここに連れてきた学年主任が言っていた。

どこの誰とも知れない「穴蔵のシスター」は最後の救い、なのだと。
「許します」たった一言で世界が変わるなら、わたしはいくらでも嘘をつく。

悔い改めれば、許されます。
この世界で一番罪深いのは、きっとわたしだろう。
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