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比翼の小鳥
第2章 穴蔵のシスター
古めかしい図書室の奥にある、禁帯出本倉庫が「穴蔵」と呼ばれるようになったのは、いつの頃だろう。
大昔に寄贈された希少本も、その存在すら忘れ去られて、このホコリとカビの混じった匂いのする空間で眠っている。
登校したら職員室から穴蔵へ。
それが、わたしの日常だ。
学校にいる間、穴蔵から出ることはほとんどない。
たまに手の空いた教師が自習の進み具合を見にくる程度だ。
「君の場合、必要なのは出席日数だけですからね」
学年主任の先生は、いつもそう言って穏やかに笑う。
わたしはこの優しい先生が好きだ。
この、世界から隔離された空間が、わたしの唯一の居場所だった。
大昔に寄贈された希少本も、その存在すら忘れ去られて、このホコリとカビの混じった匂いのする空間で眠っている。
登校したら職員室から穴蔵へ。
それが、わたしの日常だ。
学校にいる間、穴蔵から出ることはほとんどない。
たまに手の空いた教師が自習の進み具合を見にくる程度だ。
「君の場合、必要なのは出席日数だけですからね」
学年主任の先生は、いつもそう言って穏やかに笑う。
わたしはこの優しい先生が好きだ。
この、世界から隔離された空間が、わたしの唯一の居場所だった。