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第1章 出張

暗い道を抜けて、明るい駅前に近づく頃には左党の歩様も確かなものになっていた。
駅前の一際明るい店の前で、他中が立ち止まり、
「ストッキング買いますね。」
そう言って、２４時間営業のディスカウントストアに入って行った。
他中の後に続いて左党も店に入って行った。

ストッキング売り場で、左党がストッキングを手に取ると他中が奪い取り、
「僕が破ったんで、僕が買いますよ。」
「何言ってのよ、誤解すること言わないでよ。」
左党の顔を真っ赤にし、ストッキングを奪い返した。
（誤解じゃないけど…バカァ…）
「自分で買うからいいわよ。」
左党は、レジへ向かい、レジに並んでいると、
「左党主任、これどうですか？」と、パーティーグッズの、ガーターベルトとストキングのセットを持ってきた。
「履かないわよ。」取り憑く島はなかった。
他中はそのまま、売り場へと返しに行った。
（もう、バカァ…でも、好きなの…）

左党の乗る地下鉄の改札の前まで来ると、左党は他中に向かい合い。
「ありがとう。初出張ご苦労様。ちゃんとレポート書いてね。」
「はい。」
「あと、明日は遅刻しないでね。」
「えっ、はい。」
「おやすみなさい。」
左党はそのまま、反転して改札へと入っていった。
他中は、雑踏に紛れる左党憂裡を見送っていた。