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第1章 出会い

夏休みも終わりに近づいたある日、家の電話が鳴った。
ユカからだった。
「もうすぐ東京に帰るから、その前に一度会いたい」思いがけない言葉だった。

その夜、僕とユカは近くのファミリーレストランで向かい合っていた。
「キミ、彼女いるんだよね。聞いたよ。」ユカが切り出した。
あの夜、大宴会の席上で僕の同級生がユカにバラしたのだ。
「うん・・・なのにあんなことしてごめんなさい。怒ってますよね・・・」
「怒ってはないけど、残念だな。」
「何がですか？」
「彼女がいること。」
「私、立候補しようかな、キミの新しい彼女に。」

思いがけない「告白だった」
それはとても魅力的だった。
ユカは洗練された美しさと上品さを備えた大人だった。
それが怖かった。自分とは世界が違うような気がして。

そして、付き合っている彼女のことも。
確かに、当時の彼女とはとても「付き合っている」という状態ではなかった。
もう既に体を重ねてはいたけど、二人の距離は遠かった。
たまに地元に帰っても会うのはいつも喫茶店で一時間ほど話し込むだけ。
セックスもほんの２、3回しただけで、二人ともまだその良さを味わうところまでたどり着いていない。
それでも、僕は今の彼女を大事にしたい、と思った。

「ごめんなさい。」
後ろ髪を引かれながら、僕はユカにそう告げた。
ユカは次の日、大学のある東京に戻った。
僕も少し遅れて大阪の下宿に戻った。
これで終わった、そう思っていた。