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雪エルフ魔女の氷結NG日記(極北系+官能短編集)
第1章 ソーニャ、野獣の餌食と全裸徘徊の理由(序章プロローグ)
1
「回復魔法、ヘタなんだよ。私がよく使ってるのは「雪魔法の再結晶」で再構築だから。自分の体の修復は出来ても他の人が大怪我したら、ちゃんと助けたり治せる自信がないもの」

 まだ寒い明け方、雪(スノー)エルフの「魔女」ソーニャは、山村の村人たちと岩と雪の細道を逃亡・脱出中であった。たまたま通りがかって一宿一飯を乞うたところ、その未明に魔狼の大軍が村を襲撃してきた。
 必死で生き残りと死地を脱して、麓の大きな村や町を目指しているが、魔狼がしつこく追い掛けてくる。他にどうしようもなさそうなので、ソーニャがしんがりに残って追跡を妨害して時間を稼ぐしかない。


2
 やっぱり、敵の数が多すぎたようだ。
 二十匹ほど蹴散らしたところで、追加おかわりの十匹にやられて食い散らされる羽目に。やっぱり苦痛と断末魔はやるせない。
 頭蓋骨に牙で噛みつきの傷痕を刻みつけられ、喉首を噛み裂かれて血塗れに振り回される。キュートなお腹を引き裂かれて、グログロしい「モツ」が湯気と臭気をたてて飛び出してしまう。玩具に噛み砕かれた手足がブラブラ揺れて、「生ける芸術品」のはずの美乳が噛み千切られる。野生の世界は厳しいのだった。狼たちの口鼻が内蔵を突っつく。
 でも大丈夫。計算ずくだから。
 ソーニャは「再結晶の奥義魔術」によって、壊れた体を修復できるし、普通の死に方なら復活できるから。
 今回だってたまたま吹いてきた一陣の冷風にのって、粒子になって離れた場所で復活。

(うう、寒い)

 難点は、服や装備品までは再生できない。特に離れた場所で復活したときはすっぽんぽんで、服や道具を取り戻すためには元の場所に回収しにいかないといけない面倒がつきまとう。
 そのまま全裸裸足で山を彷徨いながら、どうにかこうにか麓の町までたどりついたそうだ。


3
 あの山村の村人の生き残りと再会したのは留置場だった。「白昼から裸の女が徘徊している」という通報を受けた保安官(婦警)に保護・連行されたのだった。
 ようやく誤解も解けて釈放され、感謝状のついでカツ丼の回数券と一週間の宿泊チケット。あと、外套と財布類を先に行かせた一緒に逃げていた村人に預けていたのも正解だった。
 けれども。
 その場所に滞在中、全裸徘徊を見つけた男の子たちから、ずっと色気づいた眼差しでつきまとわれたのは、嬉しいのか閉口するのかよくわからない。
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