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幼なじみのフヒト君
第2章 夜のお散歩
不日人は、よく靴や教科書などを無くして帰ってきた。
性格に問題があるからか、彼の両親は学校での様子を聞かず、不日人を叱った。
いくらわたしが言おうとも、取り合ってはくれない。
果ては、両親でケンカを始めてしまう。
「お前がちゃんと育てないから」
「あなたが家を省みないから」
よくこんな怒鳴り声が隣から聞こえて来るようになった。
不日人は毎日泣いていた。
わたしの部屋に避難してくる事も度々あった。
そんな生活が続いたある日、避難してきていた不日人が不意にわたしの手を引いて外に出た。
「舞ちゃん。どこか遠くに行こう。」
目は真剣だ。
「…不日人くん…」
手を引かれるまま、歩きだした。いく宛もなくとぼとぼと。
後から聞いた話、うちの両親がいち早く私たちが居なくなった事に気付いた。
慌てて近所を探したという。
ケンカをしていた不日人の両親も顔色を変えて探し回った。