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幼なじみのフヒト君
第2章 夜のお散歩
家の問題は、わたしには関与できない。
あんなに優しそうなお母さんがまさかそんなことを言うなんて。
常盤家は共働きで、不日人はよく一人でいた。
たぶん、興味が出たらトコトン突き詰めるのはその寂しさをまぎらわせる為に始めたものだと思う。
最近は、特に不日人一人で家にいる事が多い。
彼の両親が帰って来ない事も多くなってきた。
だから、うちにご飯を食べに来たり泊まったりしていた。
「不日人…」
「たまにね…帰ってくるんだ。そしたらね…、とぅさんとかぁさんがケンカするんだ。」
と言って声を出さずに静かに泣いた。
ああ、不日人はあの時から時が止まっている。
あの初めてのお散歩の時から…。
知識は増えても、体が成長しても心は小さな子供のままなんだ。
わたしたちでは、彼の心を癒してあげられなかったのか…。
悔しかった。
同時にいままで感じていた、幼なじみとして大切に思う感情が、不日人を一人の男として大切に思う感情なんだと気付いた。