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愛してるなんていらない
第11章 親子
『でもね..咲のこと、大好きだから....本当に大好きだから....いっぱい食べて、いっぱい勉強して....いっぱい....」
そう言いながら、涙がポタポタと落ちるのを、不思議に思いながら私はみていた。
『ママ~?』
『いっぱい..楽しいことしてねって...言ってたよ!それで大きくなったらいつか..また会おうねって..それまで頑張って生きてって....』
『そっかぁ~...じゃあ咲、あれも食べていい?』
『..え?』
私が幼稚園のお弁当用においてある唐揚げを指さすと、不思議そうな顔をした。
『だって、いっぱい食べなきゃ大きくなれないもん。早く大きくなったらママもパパに会えるもんね!』
そういって必死に食べる私を見て、
母は叫ぶように泣いた。
あれが母の涙を見た最後だった。
本当は父が癌で死んでいたことを知ったのは、私が小学3年生の時だった。
「