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愛してるなんていらない
第6章 自慰
車に乗り込み、私が言うと、
彼は思い出したように後ろを振り返り
座席の上にある鞄を探りだした。

「あ〜しくったな〜飲酒運転だ。」

「だ、大丈夫ですか?」

困ったように言う彼の声に慌てて反応した。

「まぁ一杯だけだし、、内緒ね?」

助手席の私の近くまでクスッと笑う彼の体温を感じて
あの日のぬくもりを思い出して、胸がどきどきする。

あった、といって携帯を持って体を起こす彼と目が合った。

顔が近くて思わず俯くと、
大して気にも留めてない様子で、はい、と渡してきた。

「あ、う、うん・・」

どぎまぎしながら携帯を受け取り、赤外線で移す。

その様子を見ていた彼が口を開く。

「今時大学生でガラケーっているんだ。」
送信し終えて彼に返す。

「よく言われる。けど、別にこれで足りてるし、高いし・・」

「そうなんだ。」

そして車を発進させた。
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