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愛してるなんていらない
第8章 交錯
「あぅ~百合せんぱい、ほんと可愛い..」
「あの口の悪さが治ればねぇ。」
楽しそうに話す二人を見て、私も笑みがこぼれた。
ーカラン
「いらっしゃいませー..あっ。」
何かと思い、コーヒーを淹れていた手を止めて、祐子が向かった先を見る。
「洋一さん....」
前の男性と二人で入ってきた所だった。
こちらを見ると、洋一さんが小さく手を上げた。
私もすぐに頭を下げる。
祐子は前と同じ喫煙席に案内すると、メニューを置いて帰ってきた。
「せんぱ~い」
ニヤニヤして言う祐子に、知ってる、と思わず素っ気なく返してしまった。
「ケーキ、お願い。」
はーい、と答え、ケースから取り出す。
平静を装っても、心臓がうるさかった。
祐子が皿に載せたケーキをお盆に乗せ、
私は百合たちのテーブルに持っていった。