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人妻縄人形
第2章 囚われ、淫ら、
 必死で訴えるようにいう三沢由布子を見ながら、


「あぁ、別にかまわないがね。確かパリが希望だったはずだけど?パリは無理になりそうだね。ケニアかエチオピアなら空きがあるそうだと、矢吹君に伝えてくれないか?まあ、他にあてがあるみたいだからかまわないがね。」


 一樹の言葉に三沢由布子は打ちのめされたようになったが、


「まさか、社長?それは、彼がネズミだってことですか?」


 彼女の一言に、一樹が目配せをすると同時にエレベーターのドアが開いた。


「あぁ、知らなかったのか三沢君?彼の後ろには、もっと大きなネズミがね。詳しい話は部屋に入ってからだ。そういや、部屋の掃除はすんだかね?」


 木谷がすぐに答えた。


「はい、部屋は綺麗に掃除をすませましたが、社長に心当たりが?まさか!?」


 木谷の目が一樹の指の指す方を見た。
 ゴクリッとツバをのむ音が、シーンとした廊下に流れた。
 三沢由布子が慌てて口を閉じ、自分のバッグとアクセサリーを見比べるように見ていた。


「まさか、ね?しかし、やるねぇ。矢吹君も、知ってるのか?由布子君が妊娠してんのを、まだ三ヶ月かね?」


「えっ、社長どうして?まさか社長もですか?」


 三宅由布子が衝撃を受けたように聞いた。


「いや、別の筋からね。まあどうせ、今ごろ聞いてるだろうがね、矢吹君は。さあ、部屋に入ろうか?」


 木谷が鍵をあけ、一同を社長室に入れた。


「さあて、ゴミ掃除をしようか?静香君、しばらく見ててご覧、面白いオモチャがイロイロ出てくるからな。」


 言いながら一樹が小型のレシーバーとVU(ブイユー)メーターを取り出し、三沢由布子のバッグとアクセサリーの周りを調べはじめた。
 すぐに反応があり、由布子はバッグの中身をすべて出し、バッグをテーブルの上においた。
 メーターとレシーバーをバッグとバッグの中身に近付けた。
 すぐにキューン、キィンというハウリング音が聞こえた。


「うそぅ、どうして?」


「そういうことだよ、三沢君。」


 木谷の言葉に三沢由布子の瞳に、あきらめと絶望が混ざりあっていた。
 バッグの金具に超小型のマイクが仕込まれていた。
 そのあとは、五、六個の盗聴マイクが発見された。
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