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人妻縄人形
第2章 囚われ、淫ら、
 答えながら、


(この人は、知ってる。お義父さまの個人秘書がどんなものかを。じゃあ、この人も、そうだったの?そんな!)


「そう、知ってらっしゃるの。でも、大変なのは、これからよ。逃げ出したくなったら、その時は連絡して。」


 そう言いながら、由布子は静香に小さなメモを握らせた。


「はい、ありがとうございます。あの三沢さんも個人秘書だったんですか?」


 思わず聞いて後悔したが、由布子の瞳の中のギラッとした光りが静香を射すくめた。


「それは、、いいわ。社長の個人秘書、そう言えば、そう言えるかもしれないわね。でも完全な個人秘書じゃなかったわ、あなたのように、ね、静香さん。」


(なんで、この女なの?いえ、これでいいのね。私は、逃げ出したんだから、、。)


 由布子の心の揺れを知らぬ気に、


「あの、完全な個人秘書って、、」


 それ以上聞く前に、


「由布子君、静香君、ちょっとおいで。」


 一樹が二人を呼んだ。
 重厚な机の向こう側にさっきまでの緊張した雰囲気とガラッと変わった感じで、木谷と二人が面白そうに、こちらをみていた。


「由布子君、矢吹君に連絡をつけたよ。これから木谷君と迎えに行ってくれ。私が会いたいと言ってると伝えてあるから、すぐに頼むよ。パリが待ってるよ、由布子君。」


 三沢由布子の顔が、パッと明るくなり、


「えっ、パリって?わかりました、すぐに!」


「木谷君、よろしく頼む。逃げないとは思うがな?」


 一樹が念押しするように、木谷に言った。


「はい、うまくやります。じゃあ、三沢君いこうか!」


 はいっと小さく返事をして、木谷と並んで出ていった。


「静香、すまない。見苦しいところを見せたね。なにか飲むかい?」


 一樹の優しい眼差しに、


「あっ、いえ、私がなにか入れましょうか?」


 答えると同時に、腰に手が回され唇に唇が重なった。
 舌が舌を求め、布地越しにお互いの体温を伝えあい、二つの心臓の鼓動が重なりあい一つになった。
 唇が放れ、


「静香、もうしばらくつきあってくれ。思ったより長引きそうだからな。いいね。」


 一樹の声を耳元に聞きながら、ボウッとなっていたが、


「はい、お義父さま、待っています。ここでは、お義父さまの秘書ですから。」


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