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意地悪な指先
第1章 先生
「先生…?」
とりあえず
声をかけてみるがやはり部屋には誰もいない。
先生と二人きりになる滅多にないチャンスだと思っていたあおいは
少しガッカリしながら先生の机の上に
持っていたレポートを置いた。
ふと机の上を眺めると
コーヒーカップのすぐ横にはひとつの鍵が置かれていることに気づく。
家の鍵のようでも
車の鍵のようでもない、
少し小さめで
薄い鍵。
なんとなく手に取ると、
そのまま机の引き出しの鍵穴に
当てて見る。
ガチャリ
と音を立てて
鍵があく。
ビンゴ。
それは机の鍵だったのだ。
駄目だ。
こんなことしちゃいけない、
心のどこかで
そんな声が聞こえるけれど
好奇心と先生のことを
もっと知りたいという欲が
いとも簡単にあおいの良心を簡単に打ち砕く。
カラカラ…と
音を立てて引き出しを引くと
そこにはやはり
成人向けの雑誌が
何冊も入れられていた。
ドキドキは最高潮。
その中の一冊を手に取ろうとしたときだった。
「藤野?」
その声に
声にならない叫びを上げたのは
言うまでもない。
入り口にはいつのまにか
ひろと先生が立っていた。