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さげまん女の憂鬱~こんな私でよければ~
第5章 送り狼
霧島に腕枕をされて
ついつい微睡みかけた。
「今夜は泊まっていけるんだろ?」
霧島の囁きに心が揺れたが
やはり人妻ゆえに外泊は出来ないわと
だるい体に鞭打って良美はベッドから起きた。
「なんだい、つまらないな…」
「そんなことを言わないでよ
私は人妻なんだから」
「ごめん、ごめん
そんなつもりで言ったんじゃないんだ…
君とはこれからも付き合っていきたいんだ。
あっ、そうだ!
知り合った記念にこれをあげよう」
そう言って霧島は、
うちの温泉旅館の無料宿泊券だよと
チケットを二枚くれた。
そればかりか、送っていくよと
タクシーを呼んでくれた。
一緒にタクシーに乗り込み、
「さ、ドライバーに住所を教えてあげなさい」と
言われて、
スナックに自転車を駐輪していることを思い出した
咄嗟にスナックまで送ってよと申し出た。
「自転車を停めてあるのよ」
「そんなの、明日に取りに行けばいいじゃないか」
「だめよ、盗難されたら
明日からの買い物に困るわ」
自宅まで送り届けられると
警察官舎に住んでいるのがバレるので
我ながら自転車のことを思い出して正解だと
良美は何がなんでも霧島に自宅を教えたくなかった
タクシーの中では
互いに何度もキスを重ねた。
また身体が疼きだしはじめたので
良美は自分を見失わないようにするのが辛かった。