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海鳴り
第2章 過去へ──出会い
「や、やります。
い、今は痩せていますけど、それはいろいろあったせいで、でも本当はもっと…」

「腰かけのつもりでやってもらったら困る、リゾート地じゃねえんだ」


見透しているような強い眼差しに、律子は顔がひきつってくるのがわかった。


「そんなつもりはありません」

「それならいい、…学校はあっちだ」


再び背を向けて釘を打つ男に 「失礼します」と一礼して歩き出した。


「この荷物置いていくのかぁ」


律子は慌てて引き返し、カバンの重さも忘れて一目散に駆け出した。


「親方ぁ、今のかわいこちゃん誰っすか?」

「うるせぇ、ちゃんと押さえてろ!」


律子はその声に押されるように更にスピードを上げて走った。


ワケがわからない
何なのあのおじさん


生ぬるい風が首筋に絡みついた髪を僅かになびかせた。

じっとりと汗をかき呼吸を乱したまま、律子はズカズカと校門を抜け、校庭を突っ切って正面玄関らしきものが見える校舎へと向かった。




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