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海鳴り
第9章 夕凪
律子は武の喜んでいる様子を頭に思い浮かべようとしながらも、心がギシギシと音を立てて冷たく縮んでしまうのを隠さなければならなかった。

胸の鼓動しか聞こえない。
背中に冷たい汗が滲む。


「…良かったですね」


律子は声が上擦らないように相沢の目を見て微笑んだ。



私の嘘つき



「やっと武くんの願いが叶う」



偽善者…



「そうかもしれねえな」


メモ用紙を折りたたみ相沢が小さなため息をついた。



「そうに決まってます」



律子は上手に笑った。



「………」

「海鳴りが聞こえても、…もうおばあちゃんちに行かなくてすむし、それに、それに朝だって…」

「律子…」

「ちゃんとお母さんに送り出してもらえ…」

「律子もういい…」

「………」



あなたが遠い

傍にきて抱きしめて…



「いつ戻るんですか?」

「…さあ、わからねえ」

「……」



しんと静まり返った部屋の中は二人きりの筈だった。

手を伸ばせば抱き締めてくれる愛しい人に手が伸ばせない。



私の場所じゃない…

最初から
そうだった

そうだったんだ…




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