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海鳴り
第1章 訪問者
いつもの金曜日だった。
「先生さようならー」
「さようなら、気を付けて帰るのよ」
真新しいランドセルを上下に揺らし、校門を出て歩道を駈けていく子ども達に笑顔で手を振る。
「先生ばいばーい」
「結衣ちゃんさようなら、あ、ほら上履き落っことしたわよ」
「はい、結衣ちゃんこれ」
にぎやかな声が響く。
「わぁ、なっちゃんありがとう」
「あら、なっちゃん優しいのね」
「えへへッ、矢野先生さようなら」
「さようなら、走って転ばないでね。
…あ、ほら健太君、ランドセルのフタが開いてるわよー」
「いいんだよー、アハハ、おい卓也、行こう。先生また来週ー」
ランドセルが歩いているような子ども達の後ろ姿が小さくなっていく。
「1年生はかわいいですね」
校長の声に振り返る。
「はい、元気のカタマリです。私も負けられません」
律子は頷く校長に笑顔で答えた。
「少し風が出てきましたね」
街路樹のハナミズキが枝を揺らしている。
「えぇ、今夜は春の嵐になりそうです」
「今日はご主人の所へ?」
「あ、はい。 娘と一緒に…」
「そうですか」
二人は職員室へと足を進めながら小声で話しを続けた。
「先生さようならー」
「さようなら、気を付けて帰るのよ」
真新しいランドセルを上下に揺らし、校門を出て歩道を駈けていく子ども達に笑顔で手を振る。
「先生ばいばーい」
「結衣ちゃんさようなら、あ、ほら上履き落っことしたわよ」
「はい、結衣ちゃんこれ」
にぎやかな声が響く。
「わぁ、なっちゃんありがとう」
「あら、なっちゃん優しいのね」
「えへへッ、矢野先生さようなら」
「さようなら、走って転ばないでね。
…あ、ほら健太君、ランドセルのフタが開いてるわよー」
「いいんだよー、アハハ、おい卓也、行こう。先生また来週ー」
ランドセルが歩いているような子ども達の後ろ姿が小さくなっていく。
「1年生はかわいいですね」
校長の声に振り返る。
「はい、元気のカタマリです。私も負けられません」
律子は頷く校長に笑顔で答えた。
「少し風が出てきましたね」
街路樹のハナミズキが枝を揺らしている。
「えぇ、今夜は春の嵐になりそうです」
「今日はご主人の所へ?」
「あ、はい。 娘と一緒に…」
「そうですか」
二人は職員室へと足を進めながら小声で話しを続けた。